手首といっても小指側の痛みの話をいたします。
前腕(ぜんわん:ひじから手首の間)には橈骨(とうこつ:親指側)と尺骨(しゃっこつ:小指側)という2本の長い骨があります。尺骨の手首側は手根骨(しゅこんこつ)という8個ある骨のうち、月状骨(げつじょうこつ)、三角骨(さんかくこつ)と関節を構成しています。
この尺骨と月状骨、三角骨の間に英名であるTriangular Fibro Cartilage Complex(頭文字からTFCC:三角繊維軟骨集合体)という組織が存在します。機能は手をつく、手首を小指側に倒す、手を内側、外側に回す時に遠位橈尺関節(えんいとうしゃくかんせつ)を安定するという軟骨、靭帯の働きをします。
野球やテニスの反復運動、外傷、加齢、生まれつき尺骨が橈骨より長いなどの要因によりTFCC損傷が起こるとされています。
症状は手首を小指側に傾ける(尺屈:しゃっくつ)時の痛み、ドアノブをひねる動作での痛みが主なものです。
40代の男性は週末に少年野球のコーチをしています。うでたて伏せをした時に手首の痛みに気が付いた。ノックを繰り返し行なったことで、徐々に発症したと思われます。
ふいにTFCCを思い出したので、説明すると安心されたようでした。
70代女性は数か月前まで仕事をしていたが、特に体を使う仕事ではなく、思い当たる原因はない。手をついたり、ぞうきんを絞る時の痛みを訴えました。
接骨院、整形外科を受診した。整形外科では腱鞘炎と診断されたそうです。
TFCC損傷の可能性を説明し、加齢により発症したのではないか、日常ではなるべく手をつかない、ぞうきんは反対に絞る、など痛みが出ないように工夫しましょうとアドバイスしました。
40代男性も70代女性もやることは同じでした。尺側手根伸筋、尺側手根屈筋の筋緊張を緩めることです。
患部には棒灸でゆっくりと遠くから温めました。
