のどのいがらっぽい感じ・違和感・のどの奥の痛み

1 咽喉頭異常感症

50代女性の患者様は、通院開始からしばらく経っても「のどのいがらっぽい感じが取れない」とたびたび訴えておられました。初診時の主訴は食後の胃痛の緩和であり、そのほかには倉庫での仕事による腰痛・頸肩背部の張りが主な症状でした。

通院から5〜6年が経った頃より、のどの症状を訴えるようになりました。のどの症状であることから腎経の関与を疑い、照海穴・列缺穴を用いた子午(しご)治療を行ったところ、施術中からいがらっぽさが和らぐのを実感していただけました。

半年ほど経過した頃、症状の増減を繰り返していたため耳鼻咽喉科への受診をお勧めしました。検査の結果、器質的な異常は認められませんでした。その後、症状が落ち着く時期もありましたが、再びいがらっぽさやのどのつまり感が現れるようになりました。

そこで視点を変え、下顎周辺の舌・顎の筋肉の左右差を確認し、硬さのある部位に鍼を施してバランスを整えることにしました。また、甲状軟骨・輪状軟骨周辺の反応点なども取り入れながら試行錯誤を続けました。

施術中や帰院時にはのどがすっきりするものの、次回来院時まで効果が持続しない状態が続いていました。花粉症はお持ちでない方ですが、あるとき鼻毛様体神経付近のツボに鍼をしたところ、効果が長続きしました。のどの知覚を担う脳神経(舌咽神経・迷走神経・上喉頭神経)の走行路の状態を確認しながら、鍼および置き鍼を試みていく予定です。

なお、初診時にあった胃痛はすでに消失しており、内科での胃の検査でも異常は認められませんでした。心因性を示唆する所見もないことから、逆流性食道炎および心因性疾患は除外して対応を進めています。別の耳鼻咽喉科を受診した際も、やはり器質的な疾患は見つかりませんでした。

2 慢性上咽頭炎

30代女性の患者様は、慢性上咽頭炎・片頭痛・頸部のこり・下半身の冷えを主訴に来院されました。慢性上咽頭炎の発症から約1年半後の来院で、ご自身でさまざまな情報を調べ、上咽頭擦過療法(EAT・Bスポット療法)も試みられましたが、十分な効果は得られなかったとのことでした。来院時は鼻うがいを継続されていました。

対処としては咽喉頭異常感症と同様の流れで行いました。照海・列缺への子午治療、舌・下顎周辺の筋バランス調整、眼神経枝への鍼、いずれも期待するほどの改善は見られませんでした。

最終的に確認すると、咬筋(咀嚼筋)に強い緊張が認められました。この部位には鍼ではなく、指腹によるほぐしを行いました。施術後は1〜2週間後の来院をお勧めしましたが、ご本人・ご家族の都合により、次回来院まで2か月を要しました。

その間、以前使用していたマウスピースの再使用、および頸肩のストレッチ・体操を継続されたところ、慢性上咽頭炎によるのどの痛みはほぼ消失したとのことでした。

これは、無自覚のくいしばりによって咬筋を含む咀嚼筋に慢性的な緊張が生じ、それが下顎・のど周囲の筋肉へも波及することで、のどの痛みや発声のしづらさといった症状を引き起こしていたためではないかと推察されます。

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