突発性難聴に対して耳鼻科と鍼灸を併用し改善した事例

相模原市で更年期障害を鍼灸治療で改善するはりきゅう中野屋です。

目次

突発性難聴とは

突発的に起きる急性の感音性難聴のことで原因不明といわれています。ウイルス感染説と内耳循環障害説が有力と言われています。

治療開始は48時間以内が望ましく、遅くても2週間以内には耳鼻科の受診するのがセオリーとなります。内耳循環障害説の場合、48時間以内にステロイドの投与が必要となります。衰弱している有毛細胞が活性化されるからです。それでも聴力の回復が期待できるのは1/3程度、難聴・耳鳴りが残るのが1/3程度、残りの1/3は改善しないといわれています。

症状の出方は片耳に本人にはっきりわかる、起床時からあるいは音楽を聴いている途中で聞こえなくなる、などいつどこで聴力が低下したのかはっきりしているのが特徴です。

症状としては片耳の難聴のほか、耳鳴りや閉塞感、音が反響するなど聴覚過敏、めまいなどがあります。

音は空気の振動として外耳道から入り、鼓膜から耳小骨に伝えられ、さらに内耳に満たされたリンパ液の揺れとなり、蝸牛の基底板の上にある有毛細胞で電気信号に変えられ、聴神経を経て脳の聴覚中枢に伝わることで聞こえます。

治療はステロイド、血管拡張薬などの投与、星状神経節ブロック、高気圧酸素治療などがあるようです。

30代会社経営の男性が突発性難聴になりました

知人から電話があり突発性難聴で困っている方がいます。診てもらえるなら本日いつでも良いので伺いますとのこと。聞けば知人が仕事の打ち合わせで取引先の経営者の方と雑談中に突発性難聴の話になり、ちょうど鍼灸院を探していたところでした。

その日の最終で来院されお話を伺いました。仕事から帰宅後にくつろいでいた時にはっきりと片耳が聞こえなくなり、翌日近所の耳鼻科を受診すると耳鼻科で評判の良い病院を紹介されそのまま1週間入院しました。入院中はステロイドの点滴を受けて、退院後は星状神経節ブロックも受けたそうです。早期治療の甲斐があり、上記説明の中で聴力の回復が期待できる1/3に入っていると思われ、聴力検査の数値も飛躍的に改善したことで主治医からも経過良好である説明を受けました。

しかし、検査では測れない耳閉感と耳鳴りという患者様本人しかわからない主観的な症状でお困りまりでした。

聴力の回復が一番の目的ですとウイルス感染した場合は有毛細胞の死滅の可能性があるし、内耳循環障害説の場合は回復の期待が持てるものの、実際はやってみないとわからないのです。しかし耳閉感や耳鳴りならラクになる自信がありますので、1か月4週後には今よりも症状はラクになりますと伝え鍼灸治療を開始しました。

脈診、腹診の結果、証は脾虚証。まずは奇経治療で患側の腕骨-申脈を刺激します。

東洋医学に興味津々のようで治療中も矢継ぎ早に質問が飛んできます。頭脳明晰、性格的に非常に貪欲かつストイックです。物事を徹底的に検証して納得する姿勢なのでお仕事は順調なようです。また前向きな気持ちが仕事上で縁を引き寄せたり、自分の病気にもさらなる回復をもたらせたのだろうと推測しました。

耳のトラブルがある方は総じて首コリがあります。第二頸椎周辺が特に凝っていることが多いです。頸椎周辺の解剖を模型を使い説明します。

翌日知人から電話があり『〇〇さんから電話をもらい、起床時に耳閉感がなくうれしかった』というものです。2週後4回目の鍼灸治療では『仕事で屋内の噴水の近くで作業をしていたら患側の聴覚過敏により耳閉感が再発』したという主訴でした。急な症状なので耳の症状含め腎の変動とみて子午治療を用いて、金の30番鍼で大腸経の遍歴を刺激しました。その場で症状の軽減を自覚でき喜んでいただきました。また第2頸椎周囲は前回よりもコリが強かったので切皮程度でコリを取ってる際に患側耳の奥に何かを感じたとおっしゃいました。

3週後5回目には入院した病院では設備がないことから別の病院を紹介され、高気圧酸素治療を勧められました。紹介先の病院では患側の耳抜きが元々しづらい状態なのが分かったそうです。高気圧酸素治療が始まり自宅でも耳抜きするための機材を購入し訓練しました。5週目7回目の治療では耳抜きができるようになり、耳閉感や耳鳴りなど症状がまったくない、ということでした。来院されなくても電話で済む話でしたが、きちんと会ってお礼を伝えたかった、とおっしゃいました。

考察としては発症後の退院後にはある程度聴力が回復していたので、主治医から太鼓判を押されていたが、健側と比べれば患側の聴力は低下したままなので改善したい。耳閉感や耳鳴りについては主治医から鍼灸でも試したらどうか。主治医に相談して高気圧酸素治療を行なった。この紹介先でもこれほど回復しているのに、なぜ高気圧酸素治療を希望するのか、など妥協せずに何とか症状を改善したい一念を押し通した精神力が大きいと感じました。

医療先行で専門医は聴力回復がメイン、鍼灸は少なくても40分はつきっきりで対応する中で患者様が抱える自分の病気は治るのか、症状は改善するのかという大きな不安感を和らげることができたと自負しております。

 

はりきゅう中野屋

相模原市中央区上溝2429-1
TEL:042-854-8914(予約制)
受付時間:午前9時~12時、午後2時~7時
定休:日曜日・水曜日

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 患者本人です。

    服部先生への御礼と共に、中途難聴に苦しむ方の一助になれたらと思い、コメントを残します。

    書いて頂きました通りですが、発症時、私の右耳はスケールアウト寸前の重度難聴でした。しかも回復傾向が低いタイプ(全周波数帯が大幅に下がる)で、低音域だけが下がる比較的回復しやすい(しかし再発もしやすい)タイプではない突発性難聴でした。

    私は何でもとことん追求するタイプで、突発性難聴に関してもコクランレビューはもちろん、親族に医師もおりますので、耳鼻学会の論文も読み漁り、県内でも有名な医師に結果としてトリプルオピニオンをしましたが、分かった事は難病に名医はいないという事です。

    明確な治療法がない上、今ある治療にもエビデンスが乏しく、言える事は治ると信じよう。あとは慣れよう。これが結論です。医学の否定ではなく感音性難聴に対する医療の現在地点がここという意味です。

    あくまでも持論ですが、私の主治医は投薬の内容、治療方法まで私の意見を忠実に採用してくれる医師でしたので、私にとってはある意味で名医でした。

    突発性難聴になった方なら分かると思いますが、発症時からしばらく、あの耳鳴りと耳閉感…慣れるなんて無理!と思うはずです。私には明らかに無理でした。

    治療内容については服部先生の書いて頂いた通りで、入院によるステロイド漸減投与が主に、星状神経節ブロック15回、高気圧酸素療法10回、その他、食事療法や温熱療法も並行しました。あらゆる人脈を使い、その道の権威、もしくはそれに類する実績のある方のところに伺いました。

    結論も服部先生が書いて頂いている通り、右耳は一番聴こえない周波数帯でも20dbにまで回復。つまりもはや健聴レベルです。

    ここに書かせて頂きたいのは、まだ聴力の回復が中等度程度の時期(発症1ヶ月)の頃、耳閉感等をズバッと唯一取り除いて頂いたのが服部先生の鍼灸という点です。特に翌日は本当に驚きました。すぐに戻ってしまう事も聞いていましたが、あの時、回復するんだ!このままじゃないんだ!と、治る事を信じる事が出来た事がスケールアウトレベルからの数少ない健聴回復者になれた大きな理由だと思っています。

    なぜなら、鍼灸を受診する→耳閉感が取れる→安心して回復を信じる事が出来る→実際にそのタイミングで毎回聴力が回復したからです。明らかに有毛細胞に対してメンタルが大きな作用をもたらしています。しかしこの安心感、私が受けた各治療の中で、耳閉感等を取り除いてくれた服部先生以外には出来ない事でした。

    もちろん、鍼灸の先生にも色々な方がいます。このコメントが服部先生の迷惑になるなら削除して下さって構いません。

    西洋医学と違い、鍼灸は明確な論文等も読みづらく、どの先生が良いのか分かりづらいと思います。この1件で大変感銘を受けた私は鍼灸も調べつくそうと楽しんでいますが、明らかに鍼灸のあるべき治療法と違う突発性難聴専門系鍼灸には注意が必要です。問題は回復期が限られる時間の中で、どこまで調べて見極められるか。私は間違いなく服部先生に治療頂き、心から良かったと思っています。

    片道2時間以上かけて通った価値のある、素晴らしい治療に心から御礼申し上げます。中途難聴に苦しむ方がこのコメントを読んで楽になる事を願っています。

    • 大変ご丁寧なコメントを頂き、ありがとうございます!

      ご自身のことをここまでつまびらかに紹介して頂いたことで突発性難聴の方にとっては有意義な話だと思います。同じ病名、同じ症状に対して同じような施術をしても同じ効果が現れるとは限りません。個人差といえば簡単ですが、患者様の環境やその時の状況、性格、継続的な通院が可能か、など様々な要素で結果も変化します。

      おかげさまで早速、突発性難聴で耳閉感、耳鳴りでお困りの方がコメントを見てご来院されました。私にできることは可能な限り患者様の不安を取り除くこと、自分の力を発揮することです。

      最後になりましたが、コメントいただいてからお盆休みに入ったので返信が遅れましたことご容赦ください。

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